CHUEI MAGAZINE

vol.001

高速道路を支える作業員の1日とは?

2021.09.30

彦根市と多賀町の境に本社を置く中栄は、高速道路の維持管理を担う中小企業。担当エリアは、木之本・八日市・関ヶ原のインター間。環境整備や道路保全、事故対応など、一般道路に比べより徹底した管理が必要であり、高速道路という巨大なネットワークを支える重大な役割を担っている。昼夜を問わず臨機応変に働く中栄の社員の1日とは?

今回は、この道30年のベテラン!事故復旧作業の野村典生さん期待の若手作業員!清掃作業の内田竜貴さんにお話を伺いました。

 

左:野村典生さん 右:内田竜貴さん

社員さんに聞いてみた!

TTP
はじめまして!
滋賀県立大学のTaga-Town-Projectです。
今日はどうぞよろしくお願いいたします!
TTP
早速なのですが、お二人の1日の流れを教えてください!
まずは、野村さんの1日を教えてください。

私の1日はこんな感じです。
朝はギリギリまで寝る派です(笑)
夜も寝るのは早いです。それぐらいに寝ないと体力が持たないんですよ。
野村さん
TTP
日中体力仕事だと睡眠はしっかりとっておきたいですよね!
では、内田さんの1日はどのような感じですか?

私はこんな感じです。
仕事が終わると、以前はよく友人と遊んだり、趣味のゴルフをしたりしていました。
内田さん
TTP
仕事終わりのゴルフ、いいですね~!
TTP
お二人の1日が分かったところで、続いて高速道路でどのような作業をしておられるのか、具体的な仕事内容を教えてください。
私は、高速道路上の破損したガードレールなどの補修や、古くなったものを新しくするという作業をしています。あと、環境整備というものがあるんですけど、雑草とかが生えていると汚いですし、虫もたくさんいますよね。だからその草を除去して、その上にコンクリートシールというものをして美しくするという作業を主にやっていますね。事故復旧作業もしていますよ。
野村さん

 

コンクリートシール施工前

コンクリートシール施工後

私は、法面(高速道路本線に沿った道の斜面)の草刈りや排水溝の清掃などをしています。排水溝が破損していたら補修もします。草刈り機やスコップ、ブロアという(落ち葉などを)飛ばす機械を用意して現場に行っています。
内田さん

TTP
なるほど。草刈りや清掃などの作業は高速道路を維持する上で欠かせない作業ですね!
その中でも野村さんの担当する事故復旧作業について質問いいですか?
TTP
高速道路の事故は昼夜問わず起こると思うのですが、夜中に起こった場合は次の日に現場に向かうのですか?
いえ、緊急性があれば時間問わず現場に行きます。
(我々の仕事は)特殊な仕事なんですよね。ガードレールの復旧なんかは誰でも出来るような仕事じゃないので。事故が毎日立て続けに2、3件なんて時もありました。
野村さん
TTP
それは大変ですね。そのような場合に備えて、何か会社内で工夫されていることはありますか?
夜ですしどうしても間に合わないなんて時もありますから、そういう時は違う部署にお願いをするなど、臨機応変に対応しています。
一応緊急当番という班がA班~I班まであって、日付で決まってるんです。基本8:30~17:30までが仕事なんですが、それ以降に事故などが起こった場合は当番の班が優先的に現場に向かいます。
野村さん
当番の日は夜お酒飲みませんし、休みの日も出かけはしますけど、すぐ対応できる範囲に出かけますね。「この辺だったらすぐ行けるだろう」というのをいつも考えています。
野村さん
TTP
え~!そうなんですね!(驚き)
では、もし事故が起こって駆けつけた場合、どのような作業から始めるのですか?
レッカー業者さんが車などを全てどけた後の片づけから始まります。ガラスの破片とか、積荷とかもあるんですよ。NEXCOや警察の方の指示を聞いてから作業に移ります。
野村さん

TTP
いろいろな方との連携で作業を進めていくのですね。
そうですね。指示をしっかり聞かずにみんながばらばらな行動をしてしまうと、二次災害が起こったり怪我もしたりしますしね。
野村さん
TTP
確かにそうですよね。
その作業は大体どのくらいの時間で完了するのですか?
時と場合によりますね。この前あった大型トラックの事故では、夕方の17:00から作業を初めて、終わったのが夜中の2:00でした。
夜中に呼ばれて朝までかかる時もありますね。
野村さん
TTP
ええ~!!じゃあ(夜間に)連絡がきたときは…
もう、えっ…て(笑)だいたい電話番号見たら分かりますよね(笑)
野村さん
TTP
そうですね(笑)
事故の時だけに限らず、災害時なども作業に出られるのですか?
台風、大雨なんかがあった日は出ますね。
野村さん
TTP
台風だと葉っぱや枝が道路上に散らばってしまうと思うのですが、それらはどのように処理をするのですか?
落ち葉などは散水車という前から水が出る機械があるのですが、最初にその機械で路肩に寄せて、そこからは作業員がスコップで集めます。その後ろからスリンパーという大きなルンバのような機械で集めます。
野村さん
TTP
手作業なんですね?!大変だ…
そういえばコーンで仕切られていてその中で作業されているのを見たことがあります。
そうそう。僕らはそのコーンで仕切られた中で作業してますね。横はもう100キロぐらいで車がビュンビュン通ってます(笑)僕らはもう感覚が麻痺してるんですかね(笑)
野村さん
TTP
慣れてくるんですね。
はい。慣れてるから「とりあえず突っ込んでこないやろ」とでも思わんと仕事ができないからね。
野村さん
TTP
命がけのお仕事なんですね。
そうですね。だからそういったことに対応するために退避訓練などは月に一回しています。
野村さん
TTP
そのような日々の積み重ねが大事になってきますね。
TTP
先ほどのお話の中で作業に使用する機械が出てきたのですが、他にも作業に特化した機能を持つ機械があるのですか?
清掃はほんとに人力です(笑)でも、ちょっと人力では無理かなというときはバックホウという機械を使います。
あれ、なんでもするんですよ(笑)土砂どけたり、草刈ったり、重いものも吊れます。
ガードレールの支柱を打ち込むのもこの機械です。足でペダルを踏んだらガンッガンッガンッガンっと。
野村さん

バックホウ

TTP
へ~!すごい!万能ですね!
TTP
ではそのような機械を動かすのに新たに免許を取るのですか?
取りますね。大型免許とか建設機械の資格、草刈り機、チェーンソーなんかも資格がいります。作業に必要なものは会社が取る機会を設けてくれます。後は必要に応じてですかね。
野村さん
TTP
そうなんですね!
あともう一つ気になっていたことなのですが、動物の処理などもされるのですか?
しますね。一日で鹿5頭を処理場に持って行ったことがあります(笑)
野村さん
ほんとですか(笑)僕は3頭が限界ですね(笑)
内田さん
TTP
高速道路のお仕事ならではの会話ですね(笑)
TTP
では最後に、この仕事をしていてどのような時に達成感を感じますか?
やはり、事故現場で物がぐしゃぐしゃに潰れていて、それを治して綺麗に元通りになると達成感はありますよね。排水溝の掃除などでもお客さんには見えないですが、やはり土があって草が生えている所を、草を刈って、土をどけて排水溝が綺麗になると、スカッとしたなぁと。それは他の作業員も思っていると思います。草を綺麗に刈ると景色も変わるのでね。
野村さん
TTP
「お客さんに見えないところも綺麗にする」というところから皆さんの仕事に対する熱を感じますね。
野村さん、内田さん、本日はありがとうございました!

取材番外編

取材させていただいたのは日差しの強い8月中旬頃。夏ならではの大変さも教えていただきました。

TTP
夏は他の時期に比べてやはり体力的にしんどいですか?
めちゃくちゃしんどいです(笑)
内田さん
TTP
夏でも長袖長ズボンの作業服で作業をされるのですか?

はい、長袖長ズボンです。現場が気温36°くらいあれば、アスファルトの照り返しなんかで40°くらいになりますね。影がないし。
野村さん
なので今の時期は熱中症対策とかしっかりしてますね。
内田さん
TTP
どこにいても直射日光ですね...
こまめに水分を摂るなどの熱中症対策は欠かせませんね。
また、山があるとその山を削って道を通しているので、そこに排水溝を入れておかないと崩れるんですよ。そこの排水溝の掃除をしに行ったりもするので、山登り付きです(笑)
野村さん
プラス作業なんでスコップとかも全部自分たちで担いで持っていきますね。夏はしんどいです…(苦笑)
内田さん
TTP
え~!!自分たちで荷物も持って山登りはしんどいですね...。
私たちの知らないところにたくさんの努力があったのですね。
あと、日焼けもすごいですよ。今はお盆休みとかもあって少し戻りましたけど、もうみんな真っ黒。(笑)
野村さん
TTP
松崎しげるみたいな感じですか(笑)
そう!松崎しげるみたいな感じです(笑)
野村さん
焦げてましたね(笑)
内田さん

取材を終えて

 

仕事内容からクスッと笑える小話まで、お二人からたくさんのことを聞かせていただきました。中でも清掃作業がほとんど手作業というのは本当に驚きました。私たちが安全かつ快適に高速道路を利用できるのは、中栄の社員さんが毎日丁寧に作業をしていてくださるおかげなんですね。まさに縁の下の力持ち。雨の日も夏の暑い日も「見えないところも綺麗に」という想いで作業をしておられる社員さんへの感謝を忘れずにいたいです。